【名著より】「遊びの要素」ホイジンガとカイヨワの視点

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人間は日々、娯楽に触れています。

ゲームを遊ぶ方も多いと思いますが、「遊び」の本質について考えたことがある人は少ないのではないでしょうか?

20世紀には歴史学者や社会学者が「遊び」について研究し、議論を重ねてきました。

本記事では「そもそも遊びって何?」というのを紹介していきます。

夕樹陽彩
夕樹陽彩

普段の娯楽に新たな観点を!

人の本質は「遊び」

オランダの歴史学教授ヨハン・ホイジンガは1938年に、「ホモ・サピエンス(知恵ある人)」に対して「ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)」という言葉を示しました。

ホイジンガは遊びこそ人間の本質だと話し、遊びこそが人間を発展させてきたファクターだと説明します。

人間の成長には

  • 文化の形成
  • コミュニケーション
  • 創造性

などの要素が含まれますが、これらは遊びの中で培われてきたと言われています。

確かに、人間が原始の状態で狩猟を続けていたら今の文明は存在しなかったでしょう。

特に文化の形成は、遊びが先行していたと言えます。

人類最初の狩猟民族だって、狩りの合間には石や骨で音楽を奏で、歌い、コミュニケーションを図ったに違いありません。

音楽、文学、哲学、演劇、舞踏、スポーツなどの文化も、本質的には「遊び」に他ならなりません。

自由で仮構の世界における、無益で無為な、本来の社会的意義からは離れた活動にこそ社会や文化の根源が存在します。

人間は「知恵ある人」である前に、「遊び」を通じて文化圏を形成してきたのです。

夕樹陽彩
夕樹陽彩

「本質的には生命活動に関係ないこと」が文化を育てて来たんだ!

遊びの4大要素

フランスの社会学者・哲学者であるロジェ・カイヨワは1958年に著書「遊びと人間」内で、遊びが次の4つの区分から成ることを提示しています。

  • アゴン(競争)
  • アレア(運 / 偶然)
  • ミミクリ(模倣)
  • イリンクス(めまい)

この4つの概念は、スマブラのディレクター、桜井正博氏が運営するYouTubeチャンネル「ゲーム作るには」でも取り上げられており、ゲーム制作に興味のある方や同氏のファンであれば、すでに耳にしているかもしれません。

たとえばアゴンは囲碁や将棋、競技クイズ、またはAPEXやVALOTANT、Overwatch2やSplatoonなどのゲームです。

アレアはギャンブルはもちろんゲーム内におけるダメージ乱数にも影響してきます。

ミミクリはRPGや、シミュレーションゲームに顕著です。

イリンクスは生理的な快楽のことで、ジェットコースターや高速レースゲームなどが該当します。

これらの要素を組み合わせたゲームも数多く存在します。

例えば、アゴン(競技)の要素が強い中でアレア(運)の要素も多く含まれる麻雀などが挙げられます。

アクションRPG(役割を演じるミミクリ)に空を自由に飛び回れる要素があればイリンクスも持ち合わせていると言えるでしょう。

プレイヤーそれぞれには趣味嗜好があり、その要素が受け入れられるかどうかは分かりません。

自分が作りたい遊びのジャンルを考え、コンセプトを保ちながら他の要素も取り入れてみると、多様性に富んだゲームが誕生する可能性があります。

夕樹陽彩
夕樹陽彩

ゲームを作るときに4大要素を意識するといいかも?

おわりに

遊びとは本質的には「無駄なもの」です。

今すぐ世界からなくなったって、誰も困らないものです。

ですが無益な行動だからこそ生まれる楽しさが、文化がそこにあります。

ただただ遊びに興じるのも良いですが「この遊びってどんな要素から作られていて、なぜ楽しいんだろう?」と考えてみるのもたまには面白いかもしれないですよ!


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